7月10日投開票の参院選は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから最初の国政選挙となります。国連安全保障理事会の常任理事国でありながら国連憲章に違反して侵略に踏み切ったロシア。領土拡張主義的な動きを強める経済軍事大国の中国。核や関連兵器の開発を止めない北朝鮮。そうした国々と隣り合う日本は、どのように外交をかじ取りすべきでしょうか。ニューヨーク特派員として国連本部、中東特派員としてシリア内戦を現地で取材した春日芳晃・国際報道部長が、考えるヒントを探してセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使のもとを訪れました。
大国の侵攻、国際社会ができることは
《春日》 ロシアは国連安保理の常任理事国であり、核兵器も持っています。国連憲章は安保理について「国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任を負わせる」と定めています。にもかかわらず、ロシアはウクライナに侵攻し、世界に衝撃を与えました。日本もウクライナ同様、ロシアの隣国であり、侵攻はひとごとではありません。安保理常任理事国かつ核兵器保有国による侵攻を、国際社会はどうしたら未然に防げると思いますか。
《コルスンスキーさん》 これは非常に難しく、とても重要な質問です。私たちがいまウクライナで見ている事態は、今日やここ数カ月で起きたわけではありません。(南コーカサスにあるジョージアから分離独立を求める南オセチアの紛争にロシアが軍事介入した)2008年のジョージア戦争以来、国連安保理はロシアの侵略を止めることができませんでした。拒否権を持つ常任理事国が、米英仏の自由民主主義国家とロシアと中国の権威主義国家に分裂しているからです。ロシアと中国は拒否権を使い、ありもしない理由を根拠に自分たちの気に入らない決議を阻んできました。
最近で言えば、弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮に対する制裁決議案も、ロシアと中国の拒否権行使で否決されました。北朝鮮は弾道ミサイル発射を続け、他国を脅していますが、安保理は共通の立場すら決めることができません。つまり今のシステムでは、安保理常任理事国が一致しない限り、戦争を防ぐことはできません。
個人的な意見ですが、私たち…
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