マイナカード機能のスマホ搭載は社会変えるか 鍵はアップルとの交渉

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江口悟
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 来春からスマートフォンマイナンバーカードの機能を搭載できるようになる。暮らしにかかわるオンライン手続きで、その都度カードを取り出す必要がなくなり、格段に便利になる。ただ、当面はアンドロイド端末だけで、国内で5割のシェアを持つiPhoneはめどがたっていない。米アップルと交渉できているのか。世の中をどう変える狙いなのか。政府が描くシナリオを探った。

 「事業者も利用者も負担が減って楽になるうえ、これまでよりもオンラインでの手続きが安全にできる社会になる」。デジタル庁の上仮屋尚参事官は「スマホ搭載」のメリットをそう強調する。

 スマホ搭載は、本人確認ができるカードの電子証明書機能をスマホでも使えるようにすることを指す。政府発行のアプリ「マイナポータル」をスマホに入れ、カードを一度かざして申請し、パスワードを設定するだけで利用可能になる。

 マイナポータルでは、健康保険や税金、年金などの自分の情報の確認や、子育て関連の自治体への申請などができる。ただ、いまは利用のたびに毎回、カードをスマホにかざして認証を受ける必要がある。

 スマホ搭載が実現すると、このカードをかざす手間が省ける。さらにパスワードの代わりに顔や指紋による生体認証の利用も認めるため、多くの手続きが簡単な操作で完結するようになる。

 確定申告ができる「e-Tax」での本人確認なども簡単になる。住民票の写しや印鑑証明のコンビニ交付も順次、スマホだけでできるようになる。

 ただし、カード自体は引き続き自治体の窓口で受け取る必要がある。対面の交付で本人であることを担保する仕組みは変わらない。

「スマホ一つで様々な手続き可能に」

 そのうえで政府がさらに狙うのは、民間企業や自治体が独自に手がけるオンラインサービスへの利用拡大だ。デジタル庁は、本人確認が必要な外部サービスとマイナポータルアプリを連携させる開発情報を今年9月までに公開予定。金融機関などに活用を呼びかけ、「スマホ一つで様々な手続きやサービスが利用可能になる」とアピールする。

「便利で安全」と詳しく仕組みを説明する政府が、iPhoneについては何を聞いても答えない。いったいなぜ? 取材を進めると、沈黙を迫られる特別な事情が見えてきました。

 スマホ搭載は、2016年のマイナンバー制度開始当初から検討されてきた。

 グーグルが開発した基本ソフト「アンドロイド」を使うアンドロイド端末は技術的な課題をクリアし、来春の実用化を見込む。

 問題はアップルが製造・販売…

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