大災害でも障害者は「気が引ける」 避難対策では置き去りなのか

有料会員記事参院選2022

阿部浩明
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 「大丈夫か! 早くこっち来い!」。北海道苫小牧市で鍼灸(しんきゅう)院を営む江尾(えお)清さん(78)は、大きな揺れに驚き、別室で寝ていた妻郁子さん(83)に大声で叫んだ。

 2018年9月6日未明の胆振東部地震。清さんは全盲で、郁子さんは弱視。暗い時間帯の地震に、夫婦の不安は一気に強まった。

 郁子さんの部屋は落下物が散乱し、足の踏み場もなかった。停電の中で余震が続くなか、頼りになったのはラジオの音声だった。

 夜が明けて避難所が設けられたが、それでも夫婦は世話になることは考えなかったという。「慣れない場所だとトイレも困る。みんな大変な時に、助けてもらうのは気が引けるから」

2022参院選 北海道の現場から

3年に1度の参院選が公示され、7月10日投開票されます。昨秋の衆院選に続くコロナ禍での国政選挙ですが、ワクチン接種で徐々に「コロナ後」に目が向く一方、ロシアのウクライナ侵攻で安全保障への関心は急速に高まっています。円安や資源高による物価高で暮らしも揺らいでいます。参院選で問われる政策は何なのか。北海道内の現場を歩き、探りました。

 2人には今、心配なことがある。日本海溝・千島海溝沿いでの巨大地震による津波だ。道などの試算では、苫小牧市の浸水被害は道内で最も広い1万224ヘクタールと想定される。浸水域の推定昼間人口は約10万6千人に上る。

 江尾さん夫妻は、自宅近くの小高い山まで歩いてみたことがある。2本の川を越え、30分ほどかかった。「私らのように目が不自由な人は、安全な場所まで短時間では逃げられない。津波が来たら、まず助からんだろうね。行政も、防災や避難のことは『見える人』を前提にした話ばかりで、障害者は置き去りにされているようだ」

 障害があるために、必要な情報が得にくいとされる「情報格差」。地震や台風などの災害時には特に、防災情報が届きにくい。

 2011年3月の東日本大震…

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