北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が28日夕(日本時間29日未明)、マドリードで始まる。かつては「戦略的パートナー」と位置づけたロシアによるウクライナ侵攻への対応だけでなく、中国の軍事的台頭にも対処する行動指針を採択する予定だ。北米・欧州の軍事同盟NATOの転換点となる。
首脳会議は30日まで。バイデン米大統領ら加盟30カ国の首脳が集い今後10年ほどの行動指針「戦略概念」を改訂する。ストルテンベルグ事務総長は28日、開幕に先立ち「より危険で、予測が難しくなる世界に対応する青写真だ」と語った。
改訂は2010年11月以来。NATOは当時ロシアとの関係改善を探り、欧州ミサイル防衛への参画すら求めた。米オバマ政権が米ロ関係の「リセット」を進めた結果だが、その後、ウクライナの欧州への接近に対してロシアはクリミア半島を一方的に併合し、ウクライナ東部を占拠した親ロ派を支援。さらに、NATOの拡大停止要求が突っぱねられ、2月にウクライナ侵攻に踏み切った。
ウクライナを「事実上」NATO側へ組み込む
NATOは今回、ロシアを「…
- 【視点】
残念ながら2022年は画期になってしまった。NATOにおけるロシアの位置づけが「戦略的パートナー」から「最大かつ直接の脅威」に変わったことは意義深い。冷戦後の時代の終結をまた一つ際立たせる。 大きな誤解(片面的理解)があるようだが、欧