楽天・石井一久監督の勝負手決まる エース降ろして小刻みリレー

編集委員・稲崎航一
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(プロ野球、28日 東北楽天ゴールデンイーグルス4―2オリックス・バファローズ)

 楽天の石井一久監督が勝負手を打った。

 2―0の八回。無死二、三塁から二ゴロで1点差に迫られた。1死三塁で打者は吉田正尚、杉本裕太郎と続く。

 このピンチで監督はエース格の則本昂大をあきらめ、左の鈴木翔天をマウンドに送り出した。「2―1で逃げ切ることを考えた」

 推定年俸650万円、大卒4年目の左腕は臆さなかった。ここまで今季14試合に登板して防御率0・77。自信を持って得意のスライダーを外角に続け、2年連続首位打者の吉田正を二ゴロに仕留めた。

 なお2死三塁。再び、監督はベンチを出る。右のセットアッパー西口直人をつぎ込んだ。152キロ、154キロ、154キロ。右腕は速球を3球続け、杉本のバットに空を切らせた。

 相手の主力に1人ずつぶつける継投に成功した。

 序盤に6連続三振を奪うなど完封ペースだった則本の球威は終盤、落ちていた。自身も現役時代、奪三振左腕だった石井監督の目は確かだった。

 「欲を言えば(則本に)投げきってほしかったけどね」。そう笑って、続けた。「ああいう展開になったら鈴木翔、西口と決めていた。(2人が)最初から自分の球を投げてくれたのが大きかった」

 相手の流れを断った。直後の九回、勝利を決定づける鈴木大地浅村栄斗の連続アーチが飛び出した。

 連敗脱出。首位を争うソフトバンクはコロナ陽性者が続出し、29日の試合が中止になった。長いシーズンでは、何があるか分からない。楽天はまずは首位を奪い返し、差をつけたい。(編集委員・稲崎航一)

 則本(楽) 三回までは6連続を含む7奪三振。「初回から指にかかった投球ができたけど、その反動が後半に出たのかなという感じですかね」

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