トルコが28日、難色を示していたスウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)への加盟を認めました。この間、トルコは積極的な独自外交を展開し、欧米から譲歩を引き出すことに成功しました。2007年から11年まで駐トルコ大使を務めた田中信明氏は、背景に「欧米外交の力の低下」を挙げます。
――2カ国が加盟を申請した5月当時、トルコは強硬に反対していました。
トルコは当時、「外交的利益を得る絶好の機会だ」と考えたと思います。強硬な態度は、欧米から譲歩を引き出すためのポーズでしょう。要求が通り次第、下ろすつもりで、拳を思い切り振り上げていたのでしょう。
――なぜ、そう思われるのですか。
トルコが、ロシアによるウクライナ侵攻を積極的に利用していたからです。トルコは、ロシアとウクライナの両代表団をイスタンブールに招いて停戦交渉をあっせんしたり、ドイツと首脳会談を行ったり、活発に動いていました。
トルコは仲介外交を展開することで、NATOメンバーとしての自らの地位の押し上げや、中央アジアへの影響力の拡大を進めていました。今回のスウェーデンとフィンランドのNATO加盟を巡るトルコの動きは、こうした外交戦の延長線上にあったと思います。
欧米に利用されてきたトルコ
――トルコが活発な外交戦を仕掛けた動機は何でしょうか。
一言で表現すれば「オスマン…
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