居酒屋店員、店のサンダルはいて階段で転倒 運営会社に賠償命令

田中恭太
[PR]

 居酒屋が入るビルの外階段を店のサンダルで下りていたら転んでけがをしたとして、従業員が、居酒屋を運営する第一興商(東京、東証プライム上場)に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。志田原信三裁判長は、請求を棄却した一審・横浜地裁判決を変更し、約322万円の支払いを同社に命じた。現場の階段では転倒が多発していたなどとして、「危険が予見できた」と述べた。

 第一興商は取材に「現在判決を精査中」としてコメントできないとした。

 高裁判決によると、現場は横浜市中区のビルの外階段で、2階と3階に同社の店舗が入る。従業員は2018年8月、外履き用に用意されていたサンダルを履いて3階から2階に下りる際に転び、右手や腰にけがをした。2カ月間休職したが、指のしびれなどの後遺症が残った。階段は食材やゴミを運ぶのに使い、当日は雨でぬれていたという。

 21年11月の一審判決は「足元を十分注意しなかったのが原因だ」として原告の請求を棄却した。だが、この日の高裁判決は、サンダルのかかとやつま先の凹凸が浅く摩耗していた▽別の2人が同様に転んだことがあり、うち1人については店長が見ていた▽原告がけがをした翌月にも、さらに別の人が足を滑らせて転んだ――といった状況を検討。「足を滑らせて転倒するなどの危険の可能性を客観的に予見できたというほかない」と判断した。

 また、事故後に会社が階段に滑り止めや注意書きを設け、サンダルも凹凸がより深く、滑り止めがついたものに代えたことを挙げて「事故前にこうした措置をとることは十分に可能だった」とも述べ、安全に配慮する義務に違反したと認定。慰謝料や後遺症による逸失利益などの支払いを命じた。田中恭太