国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の原理を掲げ、これまで一度も改正されていない憲法。国会では、野党も含め改正に前向きな勢力が増える。改憲の是非や方向性にも影響するこの参院選で、与野党のキーマンは何を語っているのか。
6月27日午前、石川県小松市の商工会議所前。灼熱(しゃくねつ)の日差しのなか、自民党の安倍晋三元首相(67)は100人程度の聴衆を前に声を張り上げた。「ウクライナを守るために戦っているのはウクライナ軍。日本を守るために戦うのは自衛隊だ」。そして、こんな論法で改憲を訴えた。「違憲論争があることは教科書に書かれている。その教科書で自衛隊の諸君の子どもたちも勉強しなければいけない。おかしいじゃありませんか!変えましょうよ、いよいよ!」
安倍氏は、いま各地の街頭で「自衛隊の違憲論争に終止符を」と繰り返す。参院選後も自民、公明の与党に、改憲論議に積極的な日本維新の会、国民民主を加えた4党は一定の勢力を確保すると予測。「早くやらないと、すぐ次の選挙が見えてきて議論が難しくなる」との見方を示す。
「自衛隊は合憲」繰り返す公明・山口氏
いまの憲法を米国からの「押…
- 【視点】
国政を担う政治家であれば、その政策が国民のために本当に必要であり、急を要するのかを見極め、国民に論理的に説明することが欠かせません。国家の根幹であり、国民主権を定める憲法の改正を唱えるならなおさらですが、そこが安倍元首相の主張に欠けているこ