第2回生き方を変える今こそ「半農半X」 生みの親、塩見直紀さんに聞いた

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聞き手・西江拓矢
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 持続可能な農ある暮らしをベースに、天与の才、天職の「X」を社会に生かしていく「半農半X」という生き方。1990年代半ば、塩見直紀さん(57)は人生の羅針盤としてこの言葉を生み出した。著書は翻訳され、国や地方自治体も半農半X的な生き方に注目する。「誕生」から四半世紀がたった今、その広がりと可能性を聞いた。

 ――半農半Xの現在地をどう見ていますか。

 「広がりは実感として感じています。でも、富士山で言えば、一合目と言っても良いかもしれないし、半分だと例えられるかもしれません。国境を超え、政策化され、次の段階に来たのは確かだと思います」

 「2月にあった『半農半アート』に関するフォーラムで、静岡で農業をしながら俳優をしている人と出会いました。その方が言うのが、自分と同じことを考える人が、十何年も前にこんな本を出してて、これまでなぜ出会わなかったんだろうということでした。だから、まだまだ出会っていない人が多いとも感じます。最近は、半農半Xを描いた漫画が出るなど、多様な表現がされつつあります。でも、農の世界からの発信がまだ圧倒的に少ないですね」

京都府綾部市兼業農家の出身。大学卒業後は通信販売会社に勤務。1990年代の半ばごろ、生き方や働き方に悩む中、先人たちの「半農半漁」や翻訳家星川淳さんの「半農半著」などの言葉にヒントを得て、自らを救う言葉として「半農半X」を生み出した。99年に綾部市にUターン。農業を営み、2000年に「半農半X研究所」を設立。03年に「半農半Xという生き方」(ソニー・マガジンズ)を出版。21年春、山口県下関市に転居した。「半農半Xという生き方」は翻訳され、台湾で06年に「半農半X的生活」として出版された。副題は「順従自然・実践天賦」。中国、韓国、ベトナムでも出版されている。

力はまだ衰えていない

 「振り返ってみて、逆風ということがなく、順風満帆ではないけども、常に追い風だったと思います。言葉ができたことで可視化され、その力は、まだ衰えていないと思います」

 ――広がってきた背景、追い風についてどう分析しますか。

 「自然の猛威、異常気象気候変動の問題が大きくなり、そうなると生き方を変えるという話になり、半農半Xだなと。今回の新型コロナのこともそうだと思います」

 「持続可能性という意味でSDGs(持続可能な開発目標)時代に合った。あとは、人生100年時代にも合っているのかなと思います。100年生きようとすると、何が好きか、何をしていきたいのか、やはりライフワークがないと、きついと思うんですよ」

 「半農半Xの四半世紀の意味は、方向性の提示、今後、歩むべき方向を示したことです。理想論だと言われることもありますが、これぐらい具体的な提案はないと思います」

 ――半農半Xは、使う人によって、いろんな使い方や意味付けをしているようにも見えます。

アレンジは自由

 「アレンジは自由です。漫画やアニメなどで二次創作というのがありますよね。二次創作ができるというのはファンとしてもとてもうれしいことです」

 「いろんなものを組み入れていい。漁業や林業でもいい。自分仕様。それがとても重要です。カスタマイズ自由、ローカライズ自由、というのが、時代に合っています」

 「半農半Xは、空箱ではないけども、外枠ですね。『制約』ということの大事さ。制約というのは、何か悪いことのようですけど、デザイナーや建築家にとっては、それがないと、つらいんです。枠がありながら、その中で自由にやれる。外枠というのは、持続可能性みたいなものでもあると思います」

 ――ベースとなる農の力っていうのを、どう感じていますか。

コロナ禍、自然災害、人生100年時代……。これから半農半X的な生き方をしてみたい人はどうしたらいいのでしょうか。記事後半では、塩見さんのアドバイスを紹介します。

 「自然からのエネルギーチャ…

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