「再犯しない」に「よく言えるね」 性依存症の被告に裁判官は怒った
職場の女子トイレなどで盗撮を繰り返した被告の男(29)は、クリニックで「性依存症」の治療を受けていると強調し、「再犯しません」と誓った。淡々と終わるかと思われた裁判は、裁判官の一言で空気が一変した。「再犯しないと、安易によく言えるね」――。
東京地裁で6月21日にあった初公判。被告は、上下黒のスーツ姿で証言台に立った。
起訴状によると、被告は4月、自分が働く東京都足立区のスーパーマーケットの従業員用女子トイレ個室に、カメラが付いたタブレットを設置し、30代と50代の女性2人を盗撮した。
罪名は東京都迷惑行為防止条例違反と建造物侵入。被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述などで、常習性を明らかにした。
被告は2021年2月、今回と同じような盗撮をしたとして建造物侵入容疑で逮捕され、罰金刑となっていた。
逮捕後、妻と相談し、ネット上のアダルト動画の閲覧やスマートフォンの使用を制限した。
同年4月、専門のクリニックを受診し、「性嗜好(しこう)障害」「発達障害」と診断された。
治療のため、11月まで7カ月通院したが、途中でやめてしまった。
再び気持ちが抑えきれなくなった。
今年3月、正社員として働く勤務先から貸与されたタブレットに黒いポリ袋をかぶせ、カメラの位置に穴を開けた。商業施設のエスカレーターで、女性のスカート内の盗撮を10回ほど繰り返した。
エスカレートする欲望
だが、「思うようなものがとれなかった」。
「知り合いの女性の陰部が見…
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- 【視点】
再犯で逮捕された被告人の裁判を傍聴したところ、初犯時も再犯時も同じ裁判官が担当であったということがある。 「私に見覚えはないですか?」「あなたは数年前に、この場所で、二度と同じ過ちはおこさないと誓ったのではないですか?」と裁判官が被告人に

きょうも傍聴席にいます。
事件は世相を映します。傍聴席から「今」を見つめます。2017年9月~20年11月に配信された30本を収録した単行本「ひとりぼっちが怖かった」(幻冬舎)が刊行されました。[記事一覧へ]