青森県八戸市の住宅会社に勤めていた40代男性が自殺したのは、侮辱する内容の賞状のような文書を渡されるなどのパワーハラスメントが原因だったとして、遺族が提訴した。
九州労働弁護団の事務局長を務め、労働問題に詳しい光永享央(たかひろ)弁護士は、会社側が「新年会の余興」としていた「賞状」について「受け手の視点が欠落している」と指摘する。こんなパワハラを受けたらどうすればいいか、対策も尋ねた。
みつなが・たかひろ
1978年生まれ。2007年から福岡県弁護士会所属。過労死やパワハラなどの労働問題を300件以上手がけてきた。九州労働弁護団事務局長、過労死弁護団全国連絡会議幹事。
――男性の勤務先の「ハシモトホーム」は、新年会で「症状」と題した賞状のような文書を余興として男性に渡しました。そこには「貴方は、今まで大した成績を残さず、あーあって感じ」などと書かれていました。遺族からの提訴後、社長が取材に「余興の域を越えていた」との認識を示しましたが、会社の姿勢をどう見ますか。
「この内容で『余興』と言うのは加害者側の視点で、受け手がどう感じるかを全く考えていません」
「2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は、職場でのパワハラを、①優越的な関係を背景に②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で③労働者の就業環境を害する、の三つを満たすものと定義しています。『症状』を新年会で渡されたということは、要するにさらし者にされたということです。尊厳を大きく傷つける行為です」
――遺族が提訴した理由に、労災認定後も法的責任を認めようとしない会社の姿勢がありました。
「私が過去に担当した裁判で…
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- 【視点】
パワハラというか、いじめに近いですよね。 令和2年度の厚労省による職場のパワハラに関する実態調査報告書によれば、パワハラを受けても何もしなかったという人は35.9%です。理由としては、「何をしても解決にならないと思ったから」が67.7%、