本物の動物使わずに教える命の大切さ 奈良発で広がる新たな取り組み

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聞き手・太田匡彦
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耕論 動物とのふれあいは必要か?③完

 子どもたちに命の大切さや他者への思いやりの心を教えようと、幼稚園や小学校、動物園などで動物とふれあう機会が提供されています。しかし、動物福祉の観点から問題も指摘され、奈良県うだ・アニマルパークでは本物の動物を使わない方法で、命への共感や責任感を育むプログラムを実践しています。同パーク振興室の藤井敬子獣医師に話を聞きました。

奈良県うだ・アニマルパーク振興室 藤井敬子獣医師

ふじい・けいこ

 1963年生まれ。獣医師。奈良県うだ・アニマルパーク振興室勤務。動物愛護センターの指導係も兼ねている。

 ふれあうだけでは、命の大切さや他者への共感は学べません。動物福祉が満たされていない状態で、動物の気持ちを無視して子どもたちにさわらせたり、見せたりすることは、むしろマイナスの教育効果しかないと考えています。

 そのため私たち奈良県うだ・アニマルパーク振興室では2012年度から、出前授業や遠足で本物の動物を使わずに教える「いのちの教育プログラム」を始めました。きっかけは04年に米英の動物保護施設を視察して回った際、RSPCA(英国王立動物虐待防止協会)の教育プログラムを知ったことでした。本物の動物を使うという発想を最初から排除し、ぬいぐるみと学習シートを活用した教育を行っていたのです。

動物を使わない「いのちの教育」に取り組む藤井さんは、本物の動物を使うと動物、子ども、教育実施者の3者すべてにストレスがかかると言います。記事後段では、どのような問題があるのか、動物を使わないで命の尊さを伝えられるのか、詳しく聞きました。

 奈良県ではそれまで、小学校…

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    太田匡彦
    (朝日新聞記者=ペット、動物)
    2022年7月1日14時5分 投稿
    【視点】

     子どもたちに「命の大切さ」を教えたり「他者への共感」を育んだりするために、本物の動物を「教材」として利用すべきか否か。この1、2カ月そんなテーマで取材をしています。  日本では小学校や幼稚園で動物を飼育したり、動物園が「ふれあい」コーナ