現代版「ペレアスとメリザンド」は女性への応援歌 演出家の思いは
新国立劇場(東京・初台)が、ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」を新たに制作し、7月2日から上演する。演出は、フェミニズムの観点から従来のオペラに新たな解釈をもたらしてきた英国の鬼才、ケイティ・ミッチェル。現代に舞台を移した今作で、様々な役割を期待され、疲弊する現代の女性への応援歌を描くという。
「毒づいた根っこ」に切り込む
原作は、王太子ゴローと異父弟ペレアス、名前以外の素性は明かさない女メリザンドによる三角関係の愛憎劇。ケイティは「原作のメリザンドは、男たちから好き勝手な女性像を投影される。だが一体彼女は何者なのか。女性視点で描き直したかった」と話す。これは、フェミニストを公言する彼女ならではの視点だ。
古典のオペラは、その時代性から、しばしば女性が男性に従属的な存在として描かれる。「ペレアス」でも、メリザンドは男2人を惑わす謎めいた魅力的な若い女性として描かれる一方で、夫であるゴローの意に沿わない言動をとると、怒鳴られ、手を出されることもある。
「オペラでの女性の描かれ方は、今の時代の価値観からするとふさわしくないものが多い。その毒づいた根っこは、美しい音楽という枝葉によって隠され、何の問題もないかのように見える」
「現代に生きる女性の演出家としてその根っこに切り込んでいかないと、女性蔑視的な価値観を許容することになってしまう」
「1人の女性」を描き出す
そこでケイティ版では、この…
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