コロナも乗り越えた「おてランチ」 西日本豪雨4年、つながる大切さ

能登智彦
[PR]

 西日本豪雨から6日で4年になる。広島県呉市安浦町の住民が始めた被災者らの支援活動が、コロナ禍を乗り越えていまも続いている。月1回昼食を共にし、思いや困り事を打ち明け合う。当初は苦しい被災体験を癒やす場だったが、最近は独居高齢者の支援などに比重が移る。災害で得た教訓は、人々がつながり続ける大切さだった。

 「久しぶり。元気そうね!」。6月14日昼。雨の中、町の中心部にある信楽寺(しんぎょうじ)の本堂に住民らが集まった。手作りの料理を毎月第2火曜日に食べる「おてランチ」の会。この日はスタッフを含む27人が集まった。メニューはアユの南蛮漬け、もやしとエノキのスープ、豆ご飯などで、食後のデザートや果物も。なごやかな食事の後、専門家を招いてけん玉も楽しみ午後2時すぎに終了した。

 近くに住む上田良子さん(87)は「一人暮らしなので大勢と会える機会はありがたい。元気に生きる励みになり、日程が迫るとウキウキする」と笑顔を見せた。豪雨で自宅は全壊。避難所や市営住宅を転々とした。苦しい体験が頭から離れずにいたが、会などに癒やされた。近くの桐山千歳さん(69)も「一人じゃないと実感できる大切な居場所」と話す。途中から運営スタッフに加わった。

 豪雨で町は広範囲に浸水し山間部は土石流に見舞われ、4人が死亡、991の建物に被害が出た。おてランチは被災4カ月後に開始。参加者の気持ちがなごむように旬の温かいメニューを用意する。食材の一部を近隣スーパーが提供し、参加費は1人300円ですむ。通常は40~50人が集まる。緊急事態宣言で2回ほど取りやめるとすぐに継続を求める声があがり、人数を減らして再開した。

 最初、食事の提供は被災者向けでなく、駆け付けたボランティア向けだった。被災地に負担をかけない「自己完結」を求められるボランティアは猛暑下にテントや車で過ごしていた。寺の住職廣幡康祐さん(50)の妻、彩(かさね)さん(48)や近くに住む坊垣内みどりさん(55)らが見かねておにぎりとみそ汁を提供し「おにぎり隊」と呼ばれた。浸水をまぬがれた寺の本堂と大広間(計約60畳)を宿泊所とし、洗濯機も設け、延べ約70人が利用した。

 復旧が進みボランティアが減ってもおにぎり隊は解散せず、被災者向けの活動にシフト。彩さんは「復旧はしても、夏にはあの記憶がよみがえる。小さな力だが支え合うよりどころでありたい」と話す。坊垣内さんは「1年も続くかと思っていたが、ここまできた。人がつながる大切さを災害に教えられた」と話す。

 6月中旬、ボランティアだった長野市に住む小林慧輔さん(35)が寺を再訪した。父が好きな海のそばの安浦で仕事を見つけて移住する考えを披露し、驚かせた。小林さんは「災害が結んだ縁。安浦に根を張り、会も盛り上げていきたい」と力を込める。(能登智彦)