夕暮れが近づく「聖地」のセンターコートに、アンディ・マリー(英)が足を踏み入れた。
テニスのウィンブルドン選手権第3日、29日の最終試合。大観衆が拍手で迎える。
彼の今のこの姿を3年前、誰が想像できただろう。そんなことを考えながら、錦織圭(ユニクロ)の「予言」を思い出していた。
マリーは2019年全豪オープンで、引退を示唆した。
16年リオデジャネイロ五輪での五輪2連覇、そして年末に初の世界ランキング1位になったシーズンの疲れが蓄積し、腰を痛めた。18年の7月には世界ランキングが839位まで転落した。
涙ながらの引退示唆に、英紙はじめ世界のメディアは「惜別報道」を大々的に書いた。
マリーが13年にウィンブルドンで優勝するまで、英国男子は76年間、その頂点に立てなかった。記事は、「ウィンブルドン現象」という経済用語にもなった屈辱を晴らした英雄への感謝に満ちた。
「予言」を聞いたのはその直後のことだ。
錦織と19年2月、ドバイの…
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