第6回「国産がいい」「でも安くないと困る」 アサリ偽装の本当の被害者は

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豊島鉄博
【動画】アサリ偽装の闇-黙認の果てに-
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 熊本県産アサリの出荷停止から2カ月後。全国の市場の光景はどう変わり、アサリを扱う関係者は一連の偽装騒動をどう見ているのか。いつもは九州を拠点としている記者が4月下旬、東京に向かった。

 全国一の水産物出荷量を誇る豊洲市場。大手卸会社のアサリ担当者は「われわれは振り回されている立場」と不満を漏らした。

連載「アサリ偽装の闇 黙認の果てに」一覧

業者、漁協、行政、そして消費者も黙認を続けた結果、アサリ偽装の闇は広がっていきました。記者たちが関係者の証言をたどり、黙認の構図を解き明かした連載(全6回)です。

 産地偽装の発覚前は、取り扱うアサリの約7割を「熊本県産」が占めていたが、中国産や韓国産に切り替えた。だが、アサリのイメージ低下もあり消費者の需要は薄いという。「熊本県産の表示が中国産に変わった瞬間から、売り上げは大幅に落ちた。影響はしばらく続くでしょう」

 築地場外市場にある鮮魚店「斉藤水産」。統括責任者の斉藤又雄さん(65)は「アサリは人気がある。年中置かないといけないから、価格が安定している熊本県産を使っていた」と語る。

 熊本県産が姿を消し、代わりに中国産を売ろうとした。だが、国産でなければ消費者は手に取らず、いまは主に北海道産や愛知県産を店頭に置いている。

 「本当は中国産でもいいんだけど、今回の偽装問題で余計に中国産に悪い印象が付いちゃったしね」。消費者の国産ニーズの強さを痛感する。

 近くにある老舗鮮魚店「三宅水産」は、もともと静岡県浜名湖産のアサリを取り扱っている。1月までは100グラム180~200円ほどだったが、4月下旬時点で100グラム300円まで高騰した。

 担当者の男性(49)は「熊本県産が出回っていない分、アサリが取り合いになっていて割を食っている」。国産を求める消費者の動向が、市況を左右する現状を認める。

崩壊寸前の日本の漁業

 産地偽装が深刻化した背景に…

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