ロシアのプーチン大統領は6月30日、日本の商社も出資するロシア極東の液化天然ガス(LNG)・石油開発事業「サハリン2」の運営を、新たに設立するロシア企業に譲渡するよう命令する大統領令に署名した。ウクライナ侵攻をめぐり対ロ制裁を強める日本への対抗措置とみられ、日本側が事業の権益を失う恐れが出てきた。サハリン2で生産するLNGの約6割は日本向けとされ、日本のエネルギー戦略にも大きな影響を与える可能性がある。
大統領令によると、サハリン2の運営会社「サハリン・エナジー・インベストメント」がロシア政府に資産を譲渡。同政府が受け皿として設立するロシア企業が、すべての権利と義務、従業員を無償で引き継ぐ。関係する外国企業や外国人の契約違反により、住民生活への脅威が発生したことなどを理由としている。
ロシアはウクライナ侵攻後、厳しい対ロ制裁を科した欧米や日本を「非友好国」に指定するなど反発。欧州にガス代金の支払いをユーロから自国通貨のルーブルに変更するよう求めた。今回の決定も、主要7カ国(G7)や北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に参加し、ロシア批判を強める日本を揺さぶる狙いとみられる。
今後、焦点となるのが日本の…
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6月28日の地下資源法改正(石油ガス鉱区ライセンス保有者が外国法人の場合、ロシア法人に変更することを定めたもの)を受けた動きだが、伏線は5月下旬からヴォロージン下院議長による議会でのサハリン2プロジェクトを名指ししての批判に見られていた。
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サハリン2をめぐっては、紆余曲折があったが、ロシア、日本の双方にとって、きわめて有用な経済プロジェクトであったことは間違いない。それが、重大な岐路に立たされることになった。 サハリン2プロジェクトは、生産物分与(PS)方式という枠組みで実