高校で教える選挙 過度な「中立性」教員しばる 架空の政党で授業も

有料会員記事参院選2022

山本知佳、上野創、田中紳顕
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 選挙権年齢が引き下げられて、3回目となる参院選の投開票日が近づく。高校3年生の一部は選挙権があり、主権者教育の充実が期待されるが、「政治的中立性」の観点から現場は時に難しい判断を迫られる。一部では、実際の選挙や政治情勢に触れるのを避ける傾向もある。

 兵庫県立高校の50代女性教諭は、担当する国語の授業の冒頭で直近のニュースを取り上げるようにしている。生徒たちに、社会や政治に目を向けてほしいとの思いがあるからだ。

 自分の意見を言わないように気を付けつつ、「この間の選挙行った?」と呼びかけたり、「こども家庭庁に、なんで『家庭』ってついたんだろうね」と考えを促したりしている。

 授業で、批判的な意見を言う子は少ない。「右」と言われたらみんな「右」を向いてしまうのでは――。自分の頭で考えない大人にさせてはいけない、という危機感があるという。

 主権者教育は、政治や選挙の知識を含め、社会で自立して生き抜く力の育成が目的で、2016年の選挙権年齢引き下げを機に注目された。一方、教育基本法は、特定の政党を支持・反対する政治教育を禁じており、生徒の一部が選挙権を持つ高校は、政治的中立性の確保を求められてきた。

「めんどくさいことに触れない」空気

 授業で政治や政策について触…

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    南野森
    (憲法学者・九州大学法学部教授)
    2022年7月6日20時2分 投稿
    【視点】

    氏岡真弓氏のコメントに同感です。「政治的中立性」という言葉がひとり歩きし、学校現場が萎縮する結果、生徒たちは政治について無関心となり、この国の民主主義の成熟が妨げられているのではないかとさえ思います。   政治についての知識や学び方を子

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    氏岡真弓
    (朝日新聞編集委員=教育、子ども)
    2022年7月6日7時3分 投稿
    【解説】

    【悩む現場に、やってごらんよ、が必要】 教育基本法は、小玉教授の指摘するように、選挙運動や政党の宣伝活動は禁じていますが、政治教育は推進するべきだという趣旨です。しかし、1950年代以降の冷戦期を通じて前者がふくらみ、後者が萎縮したのが、

参院選2022

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