まるで白い龍? がんになった住職の夢の結晶、SNSで人気に

有料会員記事

文・筒井次郎、写真・上田潤
[PR]

 人里離れた中国山地の「アジサイ寺」に、少し遅い花便りが届いた。ところが、今年の参拝者のお目当ては、花だけではないみたい。新たな「白い主役」にピントを合わせてみると。

 つづら折りの山道の先に、まぶしいほど白い鳥居の門が連なっていた。

 岡山県新見市の済渡寺(さいどうじ)。

 昨年5月、中国山地の山寺に「千本鳥居門」が完成すると、その美しい姿がSNSで人気になった。

 門は「白龍(はくりゅう)門」と名付けられた。

記事の後半では、おすすめのグルメスポットを紹介します。会員登録をすると応募できるプレゼントもあります。7月10日(日)締め切り

 白龍は平安初期、遣唐使だった空海が唐からこの地に連れてきた人物。博学多才で、陶器の製造技術をもたらしたという。寺には彼をまつる白龍殿と塚があり、そこに至る86メートルの小道に76基の門を造った。

 高校の英語教師だった前住職の逸見(へんみ)良安(りょうあん)さんが発案した。建設費の数千万円は、退職金や貯金を充てた。

 まさに夢の結晶だった。

 寺の始まりは奈良時代東大寺の大仏造立に尽力した高僧の行基(ぎょうき)が草庵(そうあん)を結んだと伝わる。その後、空海がこの地で死産や難産に苦しむ人々を知り、子安観音をまつったという。

 しかし、戦時中には法具も畳もない荒れ寺だった。暗い雰囲気を一掃しようと、良安さんや先代住職、檀家(だんか)が総出で1980年代から10年かけて1万1千株のアジサイを植えた。今年は、梅雨が明けても境内を彩っている。

 長女の柴田道子さん(36)によると、良安さんは英語以外も語学が堪能で、寺への案内看板は10カ国語で表記した。外国からの参拝者も接待していたという。

 退職後は、「郷土の偉人、白龍の功績を広めたい」と願っていた。ところが2018年、膵臓(すいぞう)がんと診断された。5年後の生存率は10%だった。家族会議を開き、実現を急いだ。

 白龍殿に参拝者を誘導するに…

この記事は有料会員記事です。残り824文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら