是枝監督「ベイビー・ブローカー」を語る 「最後には観客たちが…」
カンヌ国際映画祭で主演のソン・ガンホが男優賞を受けた「ベイビー・ブローカー」。韓国に続いて日本でも上映が始まった。是枝裕和監督が初めて韓国で撮った作品。日韓両国で大ヒットしている。世界の映画がアートとエンターテインメントに二極化する中、是枝監督は二つを兼ね備えた作風で異彩を放っている。
韓国映画初となる男優賞を是枝監督は「映画にとって最高のゴール」と喜びつつ日本人監督作品で「申し訳なかったかな」と言う。「韓国の監督にとって『僕らのソン・ガンホ』という思いがあるんじゃないか。パク・チャヌクやポン・ジュノ、イ・チャンドン。どの監督作で受賞しても不思議じゃなかった」
日本では約300スクリーンで公開。1週間で3億3千万円を超える興行収入を上げた。しかし韓国の公開規模はケタ違いの約1600スクリーン。「僕のキャパシティーをはるかに超えています(笑)。国民的スターの男優賞は五輪の金メダル以上なんだと思いました」
韓国映画は、2019年のカンヌで初めての最高賞パルムドールをポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」が獲得。今年は「ベイビー・ブローカー」の男優賞、パク・チャヌク監督の「別れる決心」の監督賞と、コンペに選ばれた2本がともに受賞した。「韓国のジャーナリストが『パラサイト』の年の2倍になったと聞きました」
「ベイビー・ブローカー」は赤ちゃんポストに子供を置き去りにした母親と、子供の売買に手を染める2人のブローカーらが、子供の買い手を求めてワゴン車で旅する物語。そこにブローカーを内偵する女性刑事が絡む。ソンを始め、カン・ドンウォンやペ・ドゥナ、イ・ジウンらスター俳優が出演している。
是枝監督の脚本は、登場人物…
- 【視点】
是枝監督×ソン・ガンホ、ということで、どんなに忙しかろうと映画館でみない手はなく、ようやく鑑賞してきました。 ネタバレになったら申し訳ないので多くは語れませんが、光も音も、物語も、キャストも、どれもすばらしかった。 なかでもやっ
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