第2回永田和宏さん、短歌AIを語る 「やってることは同じかも。でも…」

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佐々波幸子
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 短歌を生成するAI(人工知能)について、科学者の目をもつベテランの歌人はどう考えるのか。朝日歌壇や宮中歌会始の選者を務め、細胞生物学者としても知られる永田和宏さんを訪ねた。

「サラダ記念日」で知られる歌人の俵万智さんや、朝日歌壇選者の永田和宏さんに、短歌を生成するAI(人工知能)の世界を体験してもらいました。俳句や小説の話題も交え、創作とAIの関係について考えます。

 永田さんは朝日歌壇の選者として、毎週2千首を超す投稿に目を通す。短歌を生成できる「短歌AI」を朝日新聞社の研究員が開発したと話すと、永田さんが口にしたのは「もしもAIによる作品だと知らずに感激して入選させた後、AIがつくったと分かった時、自分はどう思うのか」という問いだった。

 「僕は失望すると思うね。だけど、最初の感激はうそやったのかと言われると、うそじゃない。作った主体が人間であることを前提に選んで、それが人間でないと分かった時に、どう落とし前をつけるか。誰もまだ答えを持っていない。最初からAIがつくったものだと分かっていたら、多分我々は人間がつくったものと同じような感激の仕方はしないと思う」

「まだこのレベルでよかったなぁ」

 「短歌AI」が短歌をつくる様子を、実際に永田さんに見てもらった。

 短歌AIを開発した朝日新聞社の「メディア研究開発センター」(M研)の担当者が、「足裏を砂流れおり」とパソコンに打ち込む。永田さんの《足裏を砂流れおりいまさらに扱いかねている肉の量》という歌の上の句だ。

……

 《足裏を>砂流れおり>見る人の>心に届く>一石となる》

 《足裏を>砂流れおり>波打って>もこもこした>土塊となる》

 《足裏を>砂流れおり>小孔が>空いた様子>山全体が》

 《足裏を>砂流れおり>露よ遠く>彷徨う人の>声を>あざけるように》

……

 画面にずらりと並んだ歌を見た永田さんは、「1首目はおもろい。思わせぶりな歌になってる。でも、まだAIがこのレベルでよかったなぁ」と笑った。「でも、それらしきいい歌ができることは間違いない。すぐに人間を追い越しちゃうかもしれない。作者と読者の関係という問題にも関わってくる」

 「僕は、作者の一番言いたい部分は言わないで、読者の側から引き出してもらうのが歌の読みだと思っているんです」と永田さんは語った。

 「歌は作者だけのものではな…

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