第3回AIが創作するとは?「人格が生まれる可能性も」 3人の先輩に聞く

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田中瞳子
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 感情というものを持たないAI(人工知能)が短歌をつくることについて、そもそも私たちはどう考えればいいのか。AIと創作の関係について考えてきた「先輩」たちがいると知って、訪ねてみることにした。

「サラダ記念日」で知られる歌人の俵万智さんや、朝日歌壇選者の永田和宏さんに、短歌を生成するAI(人工知能)の世界を体験してもらいました。俳句や小説の話題も交え、創作とAIの関係について考えます。

 まず話を聞いたのは、北海道大学大学院情報科学研究院教授の川村秀憲さん(49)と、俳人の大塚凱さん(27)だ。

 俳句を生成する「AI一茶くん」を川村さんの開発チームが生み出し、この研究に大塚さんも協力している。今年3月に刊行された2人の対談本『AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか』(dZERO)も話題だ。

 2017年に誕生した「AI一茶くん」は、小林一茶正岡子規といった俳人の句やインターネット上で公開されている現代俳句を合わせた約10万句を学習。1秒間に約40句を生成する。

 開発のきっかけは、川村さんが知人から「AIに俳句を詠ませることはできますか?」と問われたことだった。「知能の本質に迫りたい」という思いでAIを研究していた川村さんは、俳句づくりを良い切り口だと考え、取り組み始めたという。

つくれる。でも読めない

 《初恋の焚火(たきび)の跡を通りけり》

 《唇のぬくもりそめし桜かな》

 《てのひらを隠して二人日向(ひなた)ぼこ》

 いずれも「AI一茶くん」がつくった、恋をテーマにした句だ。少なくとも私のように俳句に詳しくない人は、人間が詠んだものだと言われても信じるだろう。AIがつくる句は、もっと機械的で意味が通じないものだと思っていたのに……。

 だが問題は、人間と見まがうほどの優れた句をつくることはできても、無尽蔵につくりだす句のなかから、優れた句を自分で選び出すことはできないということだ。川村さんは、「生まれたときから白い部屋のなかで、俳句だけを学習した子供だと考えてみて下さい」と話す。「私たちは、言葉を五感と結びつけて捉えている。『りんご』という語から、甘酸っぱい味や鼻に抜ける香り、歯触りを自然に思い起こすことができます。喜びや悲しみ、恋といった感情も、人生経験と照らし合わせて理解できる。それによってはじめて言葉が意味を持つ。どういう気持ちでこの句を詠んだのかを想像することができます」

 だからこそ人間は、「恋」という言葉が入っていなくても、恋の句だと感じることができる。でも、いまの「AI一茶くん」には膨大な句の学習データしかない。言葉に付随する経験や常識を持っていないのだ。だから言葉の意味を理解することはできない。「コンピューターにそれが学習できるのか自体わかりませんが、今後の研究課題ですね」と川村さんは話す。

人格のない俳句って……

 句集や歌集を読むときは、詠…

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