埼玉県桶川市の住宅地にある洋食店の看板メニューは、直径30センチ近い大皿に盛りつけたボリュームたっぷりのフィッシュ&チップス。英国風の内装がおしゃれな店は、常連客に支えられる地元の人気店だ。
ランチで850円というフィッシュ&チップスの価格は2013年のオープン当初から変えていない。店主の男性(49)によると、以前は1食あたり200円ほどの粗利があったが、この半年ほどは原価ギリギリ。粗利はほぼゼロになった。テイクアウトはもともと600円で、売れば売るほど赤字になる。
原因は、食材価格やガス代の高騰だ。中国などの需要の高まりでもともと油脂類や小麦などが値上がり基調だったところへ、円安やロシアのウクライナ侵攻などの影響が重なっている。
たとえば、材料となる輸入タラの仕入れ値は、3年ほど前は半身1枚(約4食分)で900円程度だったが、今は1500~1600円に。約2週間ごとに仕入れていた油の一斗缶(約18リットル)は、約3400円だったのが約6800円にまで上がった。納入業者からは、7月以降は8千円に、秋にはさらに値上げになると予告されている。
衣に使う小麦粉も、1キロ160円ほどだったのが300円近くになった。セットのパンも小麦価格と連動して値上がりしている。
男性は「近隣に勤める人がよく利用してくれている。客足が遠のいたら、と考えると値上げに踏み切れない」と嘆く。他のメニューに使う野菜や牛肉も、スーパーを何軒も回って少しでも安いところを探す。以前は、産地にこだわって仕入れていたが、そんな余裕もなくなった。
食材高騰に加え、2年前から続くコロナ禍も店の経営を圧迫する。
店内は普段なら最大20人ほ…
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