第7回寛容の喪失は国家衰退の大きな指標 ローマ史の泰斗は「歴史に学べ」

有料会員記事参院選2022

文化部長・喜多克尚
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 日本の少子化と人口減が加速しています。参院選では各党が様々な経済成長策を掲げていますが、人口が減り続ける国が右肩上がりで成長することはあり得るのでしょうか。歴史を振り返ると、世界を席巻し栄華を極めた強国も、やがては衰え、滅びます。その最たる存在がローマ帝国でしょう。国家はどのように衰退していくのか。その時、国家や国民にできることはあるのか。ローマ史研究の泰斗、本村凌二東京大学名誉教授(75)に聞きました。

「民主主義は本質的にポピュリズム

 《喜多》 本村さんは競馬が好きで、JRA賞馬事文化賞も受賞しています。

 《本村さん》 学生時代、父親の代わりに府中競馬場に馬券を買いに行って、馬や競馬場の美しさに魅了されました。それ以来、日本だけでなく海外でも見続けています。

 《喜多》 ローマ史を研究して、戦車競走に関心をもったのがきっかけかと思っていました。

 《本村さん》 それも根にはあったかもしれない。私は古代資本主義に興味があってローマ史の研究を始めましたが、中学生の時に(戦車競走のシーンで有名な)映画「ベン・ハー」を見て、すごいなあと思ったことも、感覚的には大きかったですから。

 《喜多》 参院選では、防衛力の整備・強化や子育て支援の充実などを訴える候補者がたくさんいますが、財源についてはあいまいなことが多い印象です。なぜそうなのか、知り合いの政治家たちに聞くと、「選挙で国民に負担増を言う政治家はいないよ」と笑われました。大衆に耳障りなことは言わない、というのは、古今東西、政治家の性(さが)でしょうか。

 《本村さん》 古代ギリシャ都市国家アテナイの銀山で新しい鉱脈が見つかったとき、そのもうけをどうするかが議論になりました。民衆はみんなに配れと要求したのですが、政治家のテミストクレスは、軍船を建造することに使おうと主張します。いずれアテナイはペルシャと海で戦うことになると確信していたからです。

 ただ、民衆の多くは、遠くの…

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