「取材だから特別」記者は「カッパのミイラ」を見た 由来は室町時代

久保田一道
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 ツイッターを検索していた記者は、「佐野子(さのこ)かっぱ祭り」という催しに関する投稿に目を奪われた。

 投稿には、こんなハッシュタグがついていた。「#カッパのミイラの手」

 調べると、茨城県土浦市佐野子で6月に開かれている祭りだった。地元住民による実行委員会に連絡を取り、取材場所として指定された公民館へ向かった。

 住民から語られたのは、室町時代から伝わるという次のような民話だった。

 近くの川で、カッパが悪さをして流される人が相次いだ。そのカッパをつかまえた男が、殺そうとした。カッパの手を引っこ抜くことを条件に、寺の和尚が命を助けてやった――。

 「ミイラの手というのは、そのカッパの……」

 おそるおそる質問を切り出した記者の前で、実行委員会の阿部守男さん(80)は古びた桐(きり)の箱を開けた。

 「普段は出しません。きょうは取材だから特別に」

 その手の長さは10センチほど。乾燥しているが、関節もはっきりとわかる。専門家に鑑定してもらい、人間以外の霊長類のものという見解を得たという。

 この民話には続きがある。命を助けてもらったカッパは、和尚にこう告げた。「日照りのとき、この手を外に出して」

 地元では「雨が降るからミイラを外に出すな」と言い伝えられてきたが、イベントに貸し出してほしいという声がかかることもしばしば。数年前、青森県八戸市を訪れた際は、滞在中の大半が大雨だったそうだ。(久保田一道)