「司法の役割を放棄」原発事故の最高裁判決、原告団が批判

酒本友紀子
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 東京電力福島第一原発事故について最高裁は先月、「想定外の津波なら国に責任はない」との判決を言い渡した。これに対して集団訴訟の四つの原告団と弁護団が、「あれだけの被害を出した事故から何の教訓も得られない」と批判する声明を出した。

 これまでの地裁や高裁の判決では、2002年に国が公表した地震予測「長期評価」の信頼性や、巨大津波を予見できたかなどが争点だった。だが、最高裁はこの2点に明確な判断を示さず、長期評価に基づいて国が東電に対策をとらせても、実際の津波は想定を上回っており原発への浸水は防げなかったとした。

 原告団と弁護団は今回の声明で「事故前の国の運用を何ら検証せず、責任を否定する方向で仮定に仮定を重ねている」と指摘。「原告の求めたものに真正面から向き合わず、司法に期待される役割を放棄した」と厳しく批判した。

 原告数が全国最多の「福島訴訟」弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「まだ決着はついていない」と話す。最高裁の多数意見は「重要な争点から逃げた」とし、反対意見が「長期評価は信頼でき、巨大津波も予見できた」と判断しており、後続の訴訟は必ずしも最高裁判決に縛られないと見る。

 反対意見を書いたのは検察官出身の三浦守裁判官。多数意見の文量を上回る約30ページが割かれた。馬奈木弁護士は「普通は論じたい点だけ言及するが、今回は判決文のような体裁。極めて異例だ」と驚く。

 三浦裁判官は、原発関係法令の趣旨・目的が「従業員や周辺住民の声明、身体への危害防止」と押さえたうえで、長期評価の公表後に経産相が原発停止などを検討したことがうかがわれないとして、「規制権限の行使を担うべき機関が事実上存在していなかったに等しい」と断じた。

 馬奈木弁護士は「『第二判決』とも言えるこの反対意見を『第一判決』にするべく闘いを続ける」と、福島訴訟第2陣での主張強化や後続訴訟の支援に力を入れる方針だ。(酒本友紀子)

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