川と森から考える球磨川流域の未来 連続講座始まる

今村建二
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 2年前の記録的豪雨で大きな被害が出た球磨川流域のこれからを、川や森、生態系といった観点から考えようと、市民グループ主催の連続講座「川と森とともに生きる球磨川流域の未来」が始まった。2回目は3日で、今後、月1回のペースで開催していく予定だ。

 初回の6月25日は、豪雨で被災した熊本県球磨村神瀬の民家を改修した集会所から各地をオンラインで結んで開かれた。森林水文学が専門で、球磨川流域でも研究を続けている東大大学院の蔵治光一郎教授が森林保水力や南九州の森の状況を解説した。

 蔵治教授によると、日本の森林は戦後の経済成長で広葉樹林の多くが伐採され、全国で4割、球磨地方では6割がスギやヒノキなどの人工林に置き換わった。だが、プラスチックなどの利用が増えたことで木材の需要が低迷。人工林が過密なまま放置され、災害の要因になった。

 その後、外国からの木材輸入が増え、木材の自給率が2000年代初めに2割を切ったことから、国は「林業の成長産業化」を推進。自給率は4割に回復したが、今度は切りすぎによる災害を心配する時代になった。

 特に球磨川流域を含む南九州は、もともと林業が盛んで木の成長も早いことから伐採が進んでおり、切り方によっては森林保水力の低下が懸念されるという。

 豪雨後に蔵治教授が流域の災害現場を調べると、災害の原因となった土砂や流木は、本来は危険な渓流沿いに植林され、手入れされずに放置人工林になっていたスギやヒノキが増水で根こそぎ流出したところから発生していたという。

 一方、一定の範囲の木をすべて切る「皆伐(かいばつ)」の跡地で表面の土砂が流出する表層崩壊はあまり多くなかった。崩壊の原因となる跡地に残された木の根っこが腐るのは伐採後10~20年だが、球磨川流域は10年以下の所が多いためといい、「これから危険な場所が増える」と警鐘を鳴らした。

 参加者からは「間伐は林業家の負担が大きい。森林税で支援するのはどうか」という質問が寄せられた。蔵治教授は「公的資金を入れないと進まないので、支援はありだと思う。ただ、現場のマンパワーが足りていないことも大きい。どう林業の人材を育てるかが大きな課題だ」と指摘した。

 連続講座の2回目は7月3日。九州大大学院の佐藤宣子教授(森林政策学)が「森林を活かし、暮らしを守る」と出して話す。メイン会場は熊本県山江村の農村環境改善センター。オンラインでも参加できる。その後は月1回のペースで12月まで開催する予定。問い合わせはkumagawa.mirai@gmail.comメールするか090・7384・0476(寺嶋さん)まで。(今村建二)