東京の子育て世帯、年収1千万円も「余裕ない」 手当切られ学費不安

有料記事東京インサイド参院選2022

杉原里美
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 「子育て支援は、貧困支援と切り分けてほしい」と投稿すると、「貧困とか言って馬鹿にしてるのか」と書き込まれた。東京都内の専業主婦(34)は、それでも毎日SNSで発信を続ける。

 子育て世帯に支給される児童手当。その支給額を左右する所得基準を巡り、非難の応酬とも言える書き込みがSNS上で相次いでいる。手当を満額で受け取る家庭を「貧乏人の優遇」と皮肉ったり、高所得のため手当を減額される家庭に「贅沢(ぜいたく)してるんだろう」とぶつけたり。子育て世帯が所得で分断されている。

 「立場の違う人を非難しても理解は得られないと思う。でも、支援対象世帯をうらやんでしまうくらい、手当を受け取れない世帯も余裕がない。みんな精いっぱいなんだと思います」

 主婦は夫(34)と長女(4)と長男(1)の4人暮らし。夫の年収は約1100万円(所得約860万円)で、手当が受け取れない年収の目安960万円(所得基準736万円)を上回る。ただ実感としては「生活に余裕があるわけではない」という。

 理由の一つは月10万円以上の住宅ローン。医療保険などの保険料も月約6万円だ。長女の幼稚園のバス代、給食費にもお金がかかる。

 一番の問題は、将来の教育費…

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    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2022年7月4日16時46分 投稿
    【視点】

    確かに、同じ年収1千万円でも昔の子育て世帯と比較すると、今の方が苦しいだろう。社会保険料が上がっていることもあり、可処分所得は減っているし、東京にいれば教育費もかかる。 自分と同世代の子育て世帯からも、年収が高いにもかかわらず余裕がな

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