ロシアの記念日改称に「大きな意味」 佐藤優さんのコメントプラス

[PR]

 「第2次世界大戦終結の日」となっているロシアの記念日を「軍国主義日本に対する勝利と第2次世界大戦終結の日 9月3日」に改称する法案が、ロシア下院国防委員長によって下院に提出された。ロシア国営タス通信などが24日報じた。ロシアによるウクライナ侵攻を受けた日ロ関係の悪化が一層浮き彫りになった。(「戦勝記念日に『軍国主義日本に対する勝利』の名称を追加法案 ロシア下院」、6月24日配信)

 朝日新聞デジタルでは、ロシアのウクライナ侵攻に関連するニュースを毎日、時系列順に伝えている。作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんは、この「タイムライン」に載った短い記事に注目した。

 「扱いは小さいですが、今後の日ロ関係にとって大きな意味を持ちます」

 第2次世界大戦が終結した日付は国際法上、東京湾の米戦艦ミズーリ号上で日本政府が降伏文書に調印した1945年9月2日だ。しかし、当時のソ連は翌3日を「軍国主義日本に対する勝利の日」とした。佐藤さんは、そう紹介した上で、当時のソ連の意図を解説する。

 「戦争終結の日を戦勝国であるソ連が恣意(しい)的に決めることができるという意思表示です」

 佐藤さんは、当時のソ連の為政者スターリンが、9月2日にソ連国民にラジオでおこなった演説にも言及。演説でスターリンは1904年の日露戦争の敗戦を振り返り、「この敗北はわが国に汚点を印した。わが国民は、日本が粉砕され、汚点が一掃される日がくることを信じ、そして待っていた。40年間、われわれ古い世代のものはこの日を待っていた」と述べ、こう続けたという。

 「そして、ここにその日はおとずれた。きょう、日本は敗北を認め、無条件降伏文書に署名した。このことは、南樺太と千島列島がソ連邦にうつり、そして今後はこれがソ連邦を大洋から切りはなす手段、わが極東にたいする日本の攻撃基地としてではなくて、わがソ連邦を大洋と直接にむすびつける手段、日本の侵略からわが国を防衛する基地として役だつようになるということを意味している」。日本の外務省の資料を引き、そんなスターリンの言葉を紹介した上で、今回のロシアの記念日改称の動きを、こう分析した。

 「ソ連崩壊後、ロシアが9月3日の『軍国主義日本に対する勝利の日』を軍の祝日から外したのは、スターリン主義から訣別(けつべつ)するという国家意思を示したかったからです。9月2日ならば、第2次世界大戦が終結したという史実に基づく客観的な記念日です。対して、一日遅れの3日だとスターリンの歴史認識を追認するという意味になります。さらに『軍国主義日本に対する』という言葉を付け加えることで、対日関係におけるスターリン主義の正当化が決定的になりました」

     ◇

 コメントプラス(https://www.asahi.com/comment/)は、専門家が記事にコメントを投稿し、新たな視点や考えるヒントを提供する朝日新聞デジタルの機能です。先月1周年を迎えて新たなコメンテーターが加入し、総勢は120人を超えます。多様なジャンルの記事でコメントをお読みいただけます。