「あの時電話していれば」後悔消えず 自慢の両親、孫に伝えたいこと
長妻昭明
熊本県合志市の鍜治屋博子さん(59)は2年前の決断をずっと後悔している。
2020年7月3日夕。自宅でぼんやりテレビを見ていると、突然、翌日の未明から熊本県南部で大雨が降るとのニュースが飛び込んできた。県南部の人吉市には父の國本一(はじめ)さん(当時80)と母の洋子さん(同79)が住んでいた。
「大丈夫かな」。心配になり、受話器を手に取った。「気を付けてね」と伝えようとした。しかし、前日に両親から電話があり、長く話したことを思い出して「まぁいっか」と受話器を置いた。
翌朝6時半、家の電話が鳴った。「大雨で避難しとるばってん、あんたの父さんと母さんがまだ逃げとらん」。人吉市に住む叔母が切羽詰まった声で言った。
すぐに父に電話するとつなが…
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