七月六日はサラダ記念日 発売35年、今なお共感される俵万智の短歌

佐々波幸子
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 《「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日》

 軽やかな口語調で若者の日常を詠(うた)った俵万智さん(59)の第1歌集『サラダ記念日』が出版されたのは、1987年5月のことだ。1年足らずで200万部を突破し、88年の暮れに公開された松竹映画のタイトルは「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」。短歌ブームにとどまらない社会現象を巻き起こした。

 今年3月、NHKの朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」に『サラダ記念日』が登場した。脚本家の藤本有紀さんは作中の時代を伝える象徴として採り入れた。主人公の弟が、あこがれの存在である小夜子(さよこ)への思いを「この本を読んでと君が言ったから四月二十日は小夜子記念日」と歌にのせる。

 「サラダ記念日の歌は誰もが参加しやすいフォーマット。最初の17文字に思いをのせれば詩情も出る」。制作統括の堀之内礼二郎さん(43)はこう話す。「ツイッターが盛んな今の時代にも合っていて、放映後にはさまざまな『記念日』の歌がつぶやかれていました」

 「なんでもないことを記念日にしてくれるのが、自分にとっての短歌。歌にすることで、大事な時間がとどめられる」と俵さんは言う。刊行から35年。なにげない日常を三十一文字(みそひともじ)で詠んだ歌集は、いまも共感を集めている。佐々波幸子