結婚して37年。
夫(66)との会話がなくなって、どのくらいになるだろう。
「お父さん、ご飯できたよー」
「このテレビ面白いねえ」
女性(61)からはよく話しかける。でも、返事はない。
「言ってもわかんないよね」
話しかけたあとで、そう付け足すことが増えた。
女性は埼玉県内で、夫と30代の長男と3人で暮らしている。
夫は手料理を「おいしい、おいしい」と食べてくれる。ロールケーキのときは、ひときわうれしそうだ。
最近、ひとりで風呂に入れなくなった。一緒に入り、シャワーで髪や体を洗ってあげる。
パジャマは裏表を逆に着ることもある。でも、混乱するかもしれないので、あえて注意はしない。
朝のひげそりも出来ない時は手伝う。
若年性認知症。
そう診断されたのは8年ほど前。58歳のころだった。
前兆はあった。
夫婦で携帯をスマホに変えたけど…
最初に違和感を感じたのは…
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- 【視点】
「意思疎通は、もうほぼできない」という記事中のことばには少しどきりとしました。 障害者施設で多数の利用者を殺傷したとして死刑の判決を受けた植松聖死刑囚が述べた、「意思疎通のできない障害者はいらない」ということばを、どうしても思い起こし
- 【視点】
働き盛りの若年性認知症の方と家族にとって、介護問題とは介助にともなう心身の負担だけではありません。大きな課題になるのが経済的な不安だと思います。本人が仕事を失ったり、教育費の負担や住宅ローンを抱えたりしていれば、さらに切実です。 精神