拘束の男「孤独で静か」とおじ 米独立記念日の銃乱射事件

ワシントン=下司佳代子
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 米イリノイ州シカゴ郊外のハイランドパーク中心部で4日朝、米国の独立記念日のパレードの最中に銃撃事件があり、少なくとも6人の死亡が確認され、20人以上が負傷した。警察は同日夕、20歳代前半の男を参考人として拘束した。米国では銃乱射事件が相次ぎ、連邦議会が超党派で銃規制を成立させたばかりだが、問題の根深さが改めて浮き彫りになった形だ。

 警察当局によると、銃撃は建物の屋上から、高性能ライフルで無差別に行われたとみられる。警察は単独の犯行とみている。現場から8キロほど離れた路上で警察官が男の車を発見し、乗っていた男を拘束した。

 地元病院の医師は会見で、8~85歳の26人を受け入れたと明かした。子どもが4、5人いたという。26人のうち25人は銃弾で負傷し、うち19人は治療を受けてすでに帰宅したという。一部は別の病院に移って治療を続けている。

 CNNの取材に応じた男のおじは、男が暴力に関わったり特定の政治的な考え方を持っていたりしたことはなく「静かな子どもで、いつも一人でいた。孤独で静かな人間だ」と語った。近くの町で父親の家の隣のアパートに住んでいた。新型コロナウイルスの流行前はチェーンの飲食店で働いていたが、いまは無職だったという。3日に最後に見かけた際は変わった様子はなかったとした。

 米メディアによると男は、自分の写真や、銃乱射を思わせるイラストなどを組みあわせた動画をソーシャルメディアに投稿していた。「私はただそれをやる必要がある。運命だから。すべてはこれにつながっていたのだ」などとするナレーションが入っていた。

 4日は独立記念日の祝日で、各地で打ち上げ花火やパレード、コンサートなどのイベントが計画されていた。CNNによると、今年に入り、米国では5日時点で少なくとも311件の銃乱射事件が起きている。

 米国で最近相次ぐ銃乱射を受け、超党派の議員らの支持で6月末に、21歳未満の銃購入者の身元確認の厳格化などを盛り込んだ銃規制強化法が成立した。銃規制で連邦レベルの立法は約30年ぶりで、殺傷能力の高いアサルトウェポン(突撃銃)の販売禁止など、より強い規制を求めていた民主党側が妥協した形だった。

 今回の事件を受け、バイデン大統領は声明を出し、「銃規制強化法には人命を救う措置が盛り込まれているが、やるべきことはまだたくさんある。銃による暴力の蔓延(まんえん)との闘いをあきらめるつもりはない」とした。

 イリノイ州のプリツカー知事(民主党)は「米国の祝祭が、(銃乱射という)米国固有の疫病によって引き裂かれたのはひどいことだ。自由のために捧げられたこの日が、市民が銃の暴力におびえることなく生活する自由を、この国が守ってこなかったことを浮き彫りにした」と語った。同州選出のダービン上院議員(民主党)は「軍事用の殺傷兵器を個人が所有する理由はどこにもない。狩猟やスポーツ、自衛の役にすら立たない」と語り、銃規制をさらに強化すべきだとの考えを示した。(ワシントン=下司佳代子)

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    福田充
    (日本大学危機管理学部教授)
    2022年7月5日8時11分 投稿
    【視点】

    シカゴ近郊のハイランドパークでのアメリカ独立記念日パレードに対する銃乱射事件。これは近年の大量殺傷事件、またはテロリズムが標的としてきた「ソフト・ターゲット」に含まれる典型的な事件です。 大量殺傷やテロリズムが標的とするソフト・ターゲット