第3回もう一つのポンペイは東大が発掘中 20年調べて振り出しに戻った謎
ソンマ・ベズビアーナ=大室一也
活火山ベズビオ山の北側に位置するソンマ・ベズビアーナ。その郊外を車で進むと、ポンペイと同様に噴火で埋もれたまま長年忘れられていた古代遺跡に着いた。一帯はフェンスで囲まれ、発掘現場の上には灰色の屋根が張り巡らされている。
ここで発掘に携わる東京大学大学院総合文化研究科特任研究員の松山聡さん(63)が「雨と紫外線で遺跡が荒れてしまうからです」と説明してくれた。
一帯はベズビオ山麓(さんろく)のゆるやかな傾斜地。発掘現場は地表から10メートル前後の深さにあり、広さ約2500平方メートルに及ぶ。屋根のない部分を地表からのぞくと、れんがを積み重ねたような低い円柱が見えた。「昨年見つけ、今年掘りました。はっきりしたことは分かりませんが、サイロだった可能性があります」
東大調査団による発掘は、2002年からもう20年に及ぶ。掘るごとに新発見があるという。
連載「ポンペイ よみがえる死都」
特別展「ポンペイ」(朝日新聞社など主催)の国内巡回を機に、現地を訪ね、連載「ポンペイ よみがえる死都」として報告します。3回目は、東京大学による発掘調査が進む「もう一つのポンペイ」にまつわる謎を紹介します。記事の最後で、発掘現場を撮影した動画をご覧になれます。
工事現場のように組まれた足場の階段をつたい、建物の遺構に下りた。
広間に当たる部分で、東側と…