政治家への転身か、世界で勝負する水泳選手の道を突き進むのか。視覚に障害のあるスイマー富田宇宙選手(33)は、この参院選を前に人生の岐路に立っていた。三つのメダルを手にした昨夏の東京パラリンピック後、悩みに悩んだ末の選択と、そのわけは。
6月13日、ポルトガルのマデイラ島であったパラ競泳の世界選手権。富田選手は男子100メートルバタフライ(視覚障害S11)に出場し、3位に輝いた。試合後、自身のツイッターに笑顔で首にメダルを下げた写真とともに、「銅メダル獲得しました」と喜びをつづった。
3カ月前まで、揺れていた。
高校2年の時、視野が徐々に狭くなる網膜色素変性症が判明した。視力はわずかに光を感じる程度となり、街中を移動する際には白杖(はくじょう)が欠かせない。絶望感に打ちひしがれた。
ところが、2012年に始めたパラ水泳を通じて障害を徐々に受け入れられるようになり、人生を前向きに生きられるようになったという。
「自身が経験したパラスポーツを推進し、インクルーシブ教育を実現して共生社会の土台をつくりたい」
この体験をもとに、パラスポーツの発展を実現させようと、政治家になることを希望するようになっていた。夢は共生社会の実現だ。
チャンスは訪れた。
過去にスポーツ関連の議員連…
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