全国初の「交通税」、議論の狙いは? 経済学者の諸富徹さんに聞く

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 過疎化が進み、地域の公共交通機関は利用者の先細りが鮮明になっています。そうしたなか、地域住民が支払う税をつかって公共交通を維持する「交通税」の導入の是非が、滋賀県で議論されています。全国初となる試みについて、県税制審議会長で経済学者の諸富徹さんに聞きました。

 ――「交通税」とはいったいどんなものですか。

 これまで、公共交通は民間企業が独立採算で運営してきました。ただ、人口減少から利用者の負担だけでは、インフラの維持ができなくなった。地域コミュニティーを持続的に発展させるために、公共交通を住民らによる税金で支えるという仕組みです。「交通税」という言葉自体は我々がうたったものではないですが、反響は大きくありました。

 ――なぜ県の税制審議会で議論されたのですか。

 審議会は交通のために立ち上げられた組織ではないのですが、大きなテーマでした。滋賀にも過疎化が進んでいる地域があります。人口減少する中でコミュニティーを維持するために公共交通を税で支える必要があるという思いです。

 ――滋賀県の公共交通はどのような状況なのでしょうか。

 関西に本社を置く企業の工場が立地し、JR東海道線沿いにベッドタウンが広がっているため、人口構成がまだ若い地域もあります。一方で人口減少が進み、鉄道やバスなどの維持が厳しい地域もあります。

 ――公共交通を税で支える意義はなんでしょうか。

 昭和の時代のように、人口が…

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