福岡の商業施設での殺人事件、当時中学生の少年きょう初公判 争点は

中山直樹
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 福岡市の商業施設で2020年8月、盗んだ包丁で女性(当時21)を刺殺したなどとして、殺人などの罪に問われた当時中学生の少年(17)の裁判員裁判が6日から福岡地裁で始まる。弁護側と検察側はともに事実関係を争わず、成人と同等の刑事処分と、少年の更生を目的とする保護処分のいずれが相当かが争点となる。

 起訴状などによると、少年は20年8月28日、福岡市中央区の「MARK IS(マークイズ) 福岡ももち」内の店舗で包丁2本を盗んだ。その後、1階女子トイレで女性の首などを包丁で刺して殺害。さらに、自身が逃走する際の盾にするために、施設内にいた女児(当時6)を連れ去ろうと包丁で脅したとされる。少年はこの前日、少年院を仮退院後に入所中だった更生保護施設を抜け出していた。

 弁護人によると、少年と事件直後に面会した際は、つじつまが合わない発言が多く、意思疎通が難しかったという。だが最近は、気分の浮き沈みはあるものの落ち着いた様子で会話ができるようになり、手紙でのやりとりでも、しっかりした字を書くようになったという。公判で弁護側は、少年は幼少期に親族から虐待を受けるなど、生育環境に問題があったとして「同年齢に比べて成熟度が劣っており、刑務所ではなく医療少年院での治療や更生が必要だ」と主張する方針だ。

 一方、被害女性の遺族は、事件から1年後の昨年8月に手記を発表。「未成年ということで名前も顔も公表されないのは犯人の将来を考えてでしょうか。娘は将来を奪われました。私たち遺族は犯人がこれからも生きていくことが許せません」と訴えた。検察側は遺族の強い処罰感情や犯行の悪質性を考慮し、刑事処分を求めるとみられる。

 事件は、福岡地検が少年の鑑定留置を実施し、刑事責任を問えると判断。20年12月に少年を殺人などの非行内容で福岡家裁に送致し、移送先の鹿児島家裁が昨年1月に少年審判を開き、刑事処分が相当として地検に逆送した。今回の裁判で「保護処分が相当」と判断された場合には、事件は再び家裁に移されて審理されることになる。(中山直樹)