KDDIが「全面復旧」を発表 発生から80時間超、正常化を確認
携帯電話大手KDDIは、2日未明に発生した通信障害について、5日午後3時36分に全面復旧したと発表した。復旧確認まで約86時間かかっており、影響を受けた回線数は最大3915万に上る。過去最大規模の障害となり、今後は補償や検証が焦点になる。
障害は2日午前1時35分に起きた。通信ネットワーク管理のための機器交換をきっかけに、複数の問題が連鎖した。実際に通信がつながりにくかったのは、発生から4日午後3時までの61・5時間だったという。
auやUQモバイルなどの携帯が長時間利用しづらくなった。物流システムやコネクテッドカー(つながる車)、銀行のATMなど様々なサービスでも不具合があった。現在は家電や車など、あらゆるものがネットにつながる時代になっている。いったん障害が起きると、深刻な事態になることが改めてわかった。
KDDIは個人や法人に対して補償を検討する。同社の2013年の通信障害では、音声通話やメールが利用できなかった利用者らを対象に、料金を請求額から700円引いた。今回は多くの企業も影響を受けており、補償の対象や金額も注目される。
総務省は今回の障害が電気通信事業法上の「重大な事故」にあたると見ている。事故後の対応も問題視しており、詳しい報告を求める。KDDIが復旧見込みの時間を公表し始めたのは障害発生から約1日がたってからだった。
金子恭之総務相は5日の閣議後会見で、「利用者への周知の内容、手段、頻度のいずれにしても不安を解消するために工夫する余地があったのではないか」と指摘。緊急通報ができない事例があったことについては「命に関わりかねない影響が出たことは極めて遺憾だ」と述べた。再発防止策などは有識者会議で検証するとした。
昨年10月にはNTTドコモで大規模な障害が発生していた。金子氏は「(KDDIが)教訓を生かせなかったことについても検討が必要だ」と語った。
KDDIの吉村和幸専務は5日夜のオンライン会見で、4日午後4時時点で公表した「全国的にほぼ回復した」という表現について、「わかりにくいという声を頂いた。お客様目線が足りなかったと反省している」と話した。(杉山歩、中島嘉克)
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