高校時代を振り返る時、阪神タイガースの湯浅京己(あつき)が真っ先に名前を出す人がいる。
福島・聖光学院高の同級生、仁平(にへい)勇汰さん(22)。いまもマメに連絡を取り合う仲だという。
ずっと福島で育った仁平さんと、三重県尾鷲市から入学した湯浅は、不思議とウマが合った。
後に主将を任されることになる仁平さんだが、「湯浅といる時は主将らしくいなくてもよかった。素でいられた」と言う。
1年時、2人はいくつかある野球部の寮の同じ棟で過ごした。ポジションも、入学時の湯浅は三塁手で、仁平さんと同じだった。
湯浅は腰痛のため、すぐにマネジャーになり、一緒に練習することはなくなった。それでも遠征に行くバスの席は隣だった。
2年になってからは同部屋になった。
Bチームだった仁平さんは、プレーがうまくいかない時期があり、「練習に行きたくない」とぼやくこともあった。
そんなとき、「ダメや。行くぞ」と引っ張ってくれたのは湯浅だった。
仁平さんはうれしそうに振り返る。
「気遣いがすごい。まるで僕…