「危ない時すぐ知らせたい」 豪雨経験の小学生が防災士に合格

黒田陸離
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 地域防災の担い手である「防災士」の試験に、広島市安芸区の小学6年生、大橋潤(うるむ)くん(11)が合格した。小学生の防災士は広島県内で初めて。4年前の西日本豪雨で被災を目の当たりにした経験から、「大雨の時にすぐに避難できるように」と勉強に励んだ。

 梅雨入りを控えた6月上旬、市立矢野小学校で地区の自主防災会による避難所開設の訓練があった。自治会の大人たちに交じって、潤くんと兄で中学1年生の劉(みずち)くん(12)も参加した。体育館の裏にある備蓄倉庫などを見て、「毛布と非常食は少ないかもしれない」「自分の学校はどうかな」などと話し合った。

 潤くんが小学2年生だった2018年7月6日夜。大雨が降り、警戒アラートが鳴り続けた。自宅周辺に被害はなく避難もしなかったが、翌朝に父の昌さん(48)の車で近くの状況を見に行くと、普段は足首ほどの深さしか水が流れていない矢野川が氾濫(はんらん)し、通学路が冠水していた。

 「友だちのマンションも水につかって、まさか自分の住んでる近くが沈むとは思っていなかった」。学校は浸水被害などを受けた住民の避難所になり、一番上の兄の同級生は土砂崩れに巻き込まれて亡くなった。

 土木資材商社で働く昌さんが防災士の資格を取ったことを知り、2人は「一緒に受かりたい」と資格試験に挑戦。「長周期地震動」や「大規模盛土(もりど)造成地」といった親しみのない用語が並び、370ページに及ぶ防災士教本を読んで勉強した。

 昨年12月上旬に市内で受けた1回目の試験では2人とも不合格。「必ずリベンジする」と今年1月から4カ月間、昌さんに作ってもらったアレンジ問題を1週間に60問解いて特訓した。「本番より難しかった」と潤くん。5月中旬の2回目の試験で合格を果たした。

 日本防災士機構によると、防災士制度ができた03年から今年6月末までの登録者数は全国で23万2696人。うち11歳以下の登録は34人で最年少は9歳。県内では13歳が2人いたが、潤くんが最年少になった。

 潤くんに教えることが多かった劉くんは残念ながら不合格。「悔しい。次は絶対に合格する」と勉強を続ける。兄姉5人と妹2人がいる潤くんは「危ない時はすぐみんなに知らせたい」と話した。(黒田陸離)