第100回街に出た市民、記者が目にした信念 「泣けばロシアに負けたことに」

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リビウ=福山亜希
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 ウクライナ東部でロシア軍の激しい攻撃がつづくなか、西部の都市リビウには、一見すると平和な光景が広がっている。石畳の道を家族連れが散歩し、飲食店ではジョッキを傾ける人も。国の危機に、なぜそんな風に過ごせるのか――。愚問と思いながらたずねてまわると、ある信念が市民の間に共有されていた。

 ポーランド国境から車で約1時間。リビウは、歴史的な街並みが世界遺産に登録されている観光都市だ。

 6月に中心部のカフェを訪れると、おおかたの席は埋まっていた。ビール片手に語り合う若者。パンをほおばる老人。客層も幅広い。外国人観光客の姿はないが、その穴埋めをしているのが地元の人たちだ。

「消費して経済を回すのも私たちの役割」

 「経済を回すため、消費するのも私たちの役割。そのお金が兵士を支える。お酒や食事を楽しむことだって、戦いの一部です」

 カフェの店員、ゾリアナさん(31)はきっぱりとそう語る。

 前線の兵士を思って、食事を楽しむことをためらう――。そんな姿は見受けられない。

 6月下旬、東部の激戦地セベロドネツクが陥落した日も、中部クレメンチュクのショッピングモールにミサイル攻撃があった日も、それは変わらなかった。

 ただ、侵攻当初のリビウや周辺の様子はだいぶ違っていた。

 国外に逃れようとする人々は…

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連載ウクライナ危機 市民は今(全150回)

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