気候変動対策、ウクライナ侵攻で足踏み 顕在化する「脅威の乗数」
聞き手・牧野愛博
6月29日まで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、今年末までの「気候クラブ」設立や食糧安全保障に言及しました。気候クラブは、気候変動対策の国際ルールづくりのための新たな取り組みです。気候変動は安全保障との意識が高まっています。ただ、長島純・中曽根平和研究所研究顧問(元空将)は、ロシアによるウクライナ侵攻で対策が停滞を余儀なくされていると指摘します。
――日本で酷暑が続くなど、気候変動に再び関心が集まっています。
ウクライナ侵攻で、気候変動問題は足踏みを続けています。ドイツはロシアからの天然ガス輸入を制限しましたが、原子力発電をコストとリスクの点から復活できないため、火力発電を増やす動きがあります。
また、ロシアは、日本企業も参画する天然ガス採掘事業「サハリン2」の運営会社資産をロシア企業に譲渡する動きをみせています。岸田文雄首相が初めて、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席した直後に発表されました。ロシアが、天然ガスを武器にし、NATOとの協力関係を進める日本を威嚇したとも考えられます。
天然ガスも化石燃料ですから…