第10回ハラスメント防ぐ「訓練」しませんか ネットフリックス小沢禎二さん
映画界など様々な分野で表面化している性暴力やハラスメントをなくすには、具体的にどんな方法があるのでしょうか。米国発の動画配信大手「ネットフリックス」は、労働環境の改善に向けた取り組みを進めています。「リスペクト(相手を尊重すること)」をキーワードとする対話型のプログラムなどを通じ、業界だけでなく社会全体を良くしていきたいと語るのは、同社プロダクション部門日本統括のディレクター、小沢禎二さん(51)。日米両国での制作の経験も踏まえて「安心して働ける環境があるとよりよい作品が出来る」と話します。
おざわ・ていじ
1971年生まれ。米ハリウッドのテレビ制作会社でミュージックビデオやCMなどの撮影助手を務め、帰国。フリーランスで国内外の映画やドラマの制作に携わった後、2018年にネットフリックス入社。現在は日本発のオリジナル実写作品のプロダクションチームなどを統括する。
――ネットフリックスで進めている取り組みについて教えて下さい
「まずは『リスペクト・トレーニング』。ネットフリックス作品に関わる皆さんが現場で相手をリスペクトする気持ち、お互いを尊重しあう気持ちを共通認識として持ってもらうためのトレーニング。『これはだめ』『これはいい』と白黒つけるのではなくて、その場でいったん立ち止まって『こういうことは言うべきなんだろうか』と立ち止まり、考えてもらう『筋肉』を養うためのトレーニング。次の日から全てが変わるということではなく5年後、10年後にこれが普通になればいいなと」
――どんな効果を想定していますか
「現場で相手を意識せず傷つけたり、今まで自分が指導と思っていたことが実は行き過ぎだったり、ということは多分にある。『正しいと思ってやっていたけど、皆の前でひとりに対して集中的にやっていないか』『簡単に異性の肩に手を置いていたけどそれで良かったのか』と気付かされることが大事だと思う」
飲み会の誘い、それって良いこと?
――始めた経緯は
「2015年に米国の本社で開発された後、#MeToo運動があって他国の支社に一気に広がりました。日本でスタートしたのは18年です。日本の現場の人たちに理解してもらえるように、米国で使われていた資料やスライドを日本の文化や習慣に応じて最適化するところから始めました」
「私自身業界を長く経験して…