雨、屋根……100年の物語 テニスの「聖地」が守り継ぐ三つの伝統

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ロンドン=稲垣康介
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 午後10時40分ごろの試合終了。可動式屋根がなく、照明設備がない時代なら、とっくに日没順延だった。

 「こんなに夜遅くまで残ってくれてありがとう」

 テニスのウィンブルドン選手権第7日の3日。男子の第1シード、ノバク・ジョコビッチセルビア)は8強入りを決めた後、センターコートでのインタビューで、観客に感謝した。

 センターコートは今年、100周年を迎えた。芝の養生のために1年でもこの大会期間しか使われないことが特別感を際立たせる。ハードコートの全豪と全米、赤土の全仏と違い、ウィンブルドンは4大大会で唯一、芝生が舞台だ。

 センターコートで戦えるのは原則、人気と実力が認められた選手のみだ。今大会でもジョコビッチや今年の全豪、全仏を制したラファエル・ナダルスペイン)は4回戦まですべてセンターが割り当てられ、女子1回戦で敗れた7度優勝のセリーナ・ウィリアムズ(米)も慣れ親しんだひのき舞台で戦った。

 今夏は会場のあちこちに「100周年」のロゴが刻まれ、祝福されている。記念コイン、お土産として人気が高い選手も使うタオル、記者の取材証も「100」が付く。

 1世紀に及ぶ歴史の中で幾多のドラマが生まれた。

 雨が名勝負を演出したと語り…

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