第9回アメリカの秘密文書に記された揺るぎない姿勢 台湾が含まれた理由

有料記事

聞き手・牧野愛博
[PR]

 台湾を巡る米中両国の駆け引きが激しくなっています。日本台湾交流協会の台北事務所(大使館に相当)で、安全保障担当主任を務めた渡辺金三元陸将補は、機密文書から、米国が台湾を防衛する方針を以前からはっきり固めていると指摘します。

 ――バイデン米大統領は繰り返し、台湾を防衛する考えを示しています。

 日本ではあまり報道されませんでしたが、トランプ前政権が2018年2月に作成した機密文書が21年1月に公開されました。

 文書は、米国家安全保障会議(NSC)がまとめた「インド太平洋戦略枠組み」です。そこには、米国が西太平洋で実行するべき三つの項目が示されていました。第1に(日本列島から台湾を通り、南シナ海を囲むように延びる)第1列島線の内側(中国側)で、中国による海空優勢の常態化を許さない。第2に第1列島線上の国々を防衛する。第3に第1列島線の外側(太平洋側)ではすべてのドメイン(領域)で米国の優勢を確保する――という内容です。

 そして、第2の項目にはわざわざ、「台湾を含む」と明示していました。バイデン氏の発言の意図はわかりませんが、NSCは既に台湾防衛の方針を決めています。

 米国は従来、台湾関係法で台湾防衛についてあいまいな態度を取ってきました。これが、台湾の米国に対する不信感の根本だったわけです。それがこのNSC文書で解消されました。

 米国政府は、極めて重要な戦略文書と位置づけており、日本政府がその意味を理解することを望んでいるようです。米国は台湾に窓口機関の米国在台湾協会を置いています。そこには20人くらいの米軍人が働いていると言われています。NSC文書が出てから、インド太平洋軍司令部があるハワイや米軍基地があるグアム、台湾との米軍関係者の往来が激しくなったようです。NSC文書に基づいた様々な動きが起きているように見えました。

 ――米国がなぜ、台湾防衛の意思を固めたと思いますか。

 中国の太平洋進出の動きがピ…

この記事は有料記事です。残り2083文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
【10/18まで】有料記事読み放題のスタンダードコースが今なら2カ月間無料!

連載読み解く 世界の安保危機(全50回)

この連載の一覧を見る