10~20代の若者は他の年代と比べて投票率が低い。それでも投票に来る若者は、どんな思いを1票に込めているのか。参院選の投開票日を8日後に控えた2日、若者でにぎわう福岡・天神の期日前投票所に密着した。投票所が開いてから閉まるまでの約9時間、投票にきた人に声をかけ続けて考えたのは、投票所を訪れるという「面倒な」行為そのものの意義だった。
午前10時、福岡市中央区の市役所で期日前投票の受け付けが始まった。10~20代の人口割合が計22%と、政令指定市の中で最も高い福岡市なら、同世代の若者の声を多く聞けるはず――。そう期待して待つこと20分、目当ての年代の男性が現れ、声をかけた。
【密着しました】百通りのドラマが集まる場所…その名は期日前投票所
あなたは、どんな思いで投票に来ましたか。全国の若手記者が2日、各地の期日前投票所に密着しました。訪れた有権者に声をかけ、投票の現場で起きるできごとから今回の参院選を考えました。あなたは何しに投票へ――。時系列で詳報します。
「きょうが初めての投票です」。中央区のトワさん(19)は開口一番、通りの良い声で話してくれた。
将来の夢は声優。故郷の鹿児島から引っ越し、4月から芸能関係の専門学校に通う。奨学金を借りているため、「期待する政策は?」と問うと「学生への支援拡充」と答えた。
ただ、特定の候補を応援している友人に誘われるまでは、投票に行くつもりはなかった。「別に行ったところで変わらないと思って。きっかけを作ってくれたのが大きい。投票はこれからも行きたいです」
続いて取材した博多区の25歳と21歳の姉妹も、共通の地元の先輩に「応援してね」と頼まれた候補者に初めての一票を投じた。「今まで行かなかったのは、単純に面倒くさかったから」と苦笑した。
面倒くさい――。そりゃあ、梅雨明け直後の炎天下、投票に行く行為のハードルは普通に考えれば高い。そうした悪条件もあるのかないのか、知人からの働きかけがあって初めて投票しに来た、という人が結構多いことに驚いた。
せっかくの投票の機会なんだから、自発的な気持ちで投票に来てほしい。がっかりした気持ちになったのは、新聞記者を数年続けてきたことが大きいのかもしれない。
もう一つ驚いたことがあった。この日、取材した10~80代の約20人の大半が、投票前にSNSで各候補者のPR動画を見たり、政策をチェックしたりしていたことだった。
「投票は面倒くさい」。20代の姉妹のそんな「本音」に、同世代の記者は蒸し暑さも手伝って「そりゃそうだよな」と理解しつつ、その面倒くささにこそ、選挙の本当の意味合いがあるのではないか、と考えるようになります。
与党候補に投票したという事…
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