自ら考えて変える「当たり前」 コロナを機に丸刈りをやめた球児たち

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仙道洸、吉村駿
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180度変わった指導法

 「時代の流れですかね」

 そう語るのは、福田治男監督(60)だ。高校野球の古豪・上尾高(埼玉)の主将で甲子園に出場。監督として、桐生第一(群馬)では、1999年夏にエースの正田樹(元日本ハムなど)を擁して全国制覇を成し遂げた。

 2019年から率いる利根商(群馬)でも「基本に忠実に」という方針はぶれない。キャッチボールは一球一球丁寧に投げ、ゴロはしっかり腰を落として捕球するよう声をかける。

 ただ、指導方針は「180度変わった」という。

 いまは練習の合間に、SNSなどでプロ野球選手の打撃理論も学べる時代。だからこそ、型にはめない。「もう少しバットを短く持ったら良いかも」。教えるというよりは、「ヒント」を与える感覚だという。

 試合に負けると「帰ってグラウンド10周だ」と声をかけたこともあったが、それもやめた。「いま思えば、指導者が絶対の時代ということもあったのかもしれない」と話す。

 時代の流れとともに、かつては「当たり前」と思われてきたことも、変わりつつある。

野球は我慢してやるもの?

 朝日新聞が埼玉県内の高校野球の指導者に「これからも高校野球が発展し、続いていくためには何が必要か」と尋ねたところ、「これまで当たり前だと思っていたことを見直す」などの回答があった。

 球児の丸刈りも、その一つだ。

 昨夏の埼玉大会で準優勝に輝いた昌平の黒坂洋介監督(47)は2年前、全員丸刈りだった選手たちの髪形を自由にした。

 きっかけは新型コロナの影響で休校していた時。選手たちが散髪をできず、髪が伸びていた。ある選手が「これを機に、髪の毛を伸ばしても良いですか」と提案した。

 普段の練習で、選手たちに「なぜこの練習が必要なのか、考えて欲しい」と語りかけている黒坂監督。「丸刈りである必要性」を考えた。「選手たちが(必要ないと)考えれば、それで良いのでは」と思い、髪形を自由にした。

 その後、ある指導者と「なぜ丸刈りにするのか」という話をした時に、「野球は遊びや髪形などを我慢してやるもの」と話していたことに違和感を感じた。「野球は我慢してするものなのか? と思った。多様な考えに対応していかないといけない中で、僕らは押しつけるのではなく、導かないといけない」

 浦和麗明(埼玉)の佐藤隼人監督(38)も「髪形で野球をやるわけではない」と2年前に自由にした。

 一方、1年生の途中まで丸刈りにしていた現在の3年生の代の中には、丸刈りを続ける選手もいる。

「令和と昭和のハイブリッド野球」目指す

 そのうちの1人で、主将の今田康平(3年)は「野球をやっているという感じがして良い。かっこいい」と笑顔だ。「絶対に丸刈りにはしない」という選手もいるというが、「それぞれの考えで良い」と話す。

 伊勢崎(群馬)では、3年生…

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