大手企業に勤め、安定した待遇を得て結婚もしているのに、今の働き方や将来への不安は尽きず、学び直しや仕事以外の収入を求めて焦燥する20代がいる。
会社に入ってから急速に進む働き方改革や雇用の流動化で、今の安定が将来の安心につながらない。そんな悩みの大元を探れば、制度や社会の問題に行き着くはずなのに、その矛先はなぜか政治に向かわない。行き場のない不安や焦りを共有する政治部記者(28)が、同学年の男女に聞いた。
京都市で大手メーカーに勤める女性(28)は5月下旬、3日間悩んだ末にこんな1文を、スマホからフェイスブックに投稿した。
「【緩募】大学院に進学する場合のメリットについて、よろしければコメントで記載いただけませんか??」
入社して7年目。4年前に社内結婚した夫との世帯年収は1千万円ほど。週休2日、勤務時間は9時から5時までで、上司も優しい。
職場の居心地はよく、会社は「結構好き」。でも、今の安定を手放してでも大学院で学び直した方が良いのではとの悩みが、最近尽きない。
会社は誰もが知る上場企業だ。就職の直後は「このまま敷かれたレールに乗っておけば安心」と思っていた。そんな「安心」はここ数年で大きく揺らぎ始めた。
記者が社内外の同世代とよく話題にするのは、本屋で山積みになっている「副業・転職・FIRE(資産を増やして経済的に自立し早期にリタイアする)」。安定した仕事を持っていても、漠然とした不安や焦りを感じるのは記者も同じ。もしそれが世代共通の悩みならば、参院選で考えるべきテーマになるかもしれない。同年代の取材を始めたのはそんな理由からだった。
職場の「流動化」でゆらぐ安心 「働き続けても不安大きくなるだけ」
社内では、職務に応じて賃金…
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