参院選徳島・高知選挙区の投票率が低迷している。合区が導入された2016年は高知、19年は徳島が全国の都道府県で最低だった。16年に高知市の有権者の意識調査に関わった遠藤晶久・早稲田大准教授(投票行動論)に、低投票率の要因や改善に向けた対処方法を尋ねた。
――調査では、合区制度は投票率の「抑制要因」と結論付けました
ゼミの学生が、この調査データを使って面白い分析をしました。意識調査では、合区を増加、または維持すべきだと回答した人の投票率は高く、一方で「解消派」は低い。
そこで、過去の市長選や市議選、県議選について調べると、解消派の投票率は高かった。もともと選挙に投票する傾向のあった人たちが、選挙制度への不満から参院選は投票しなかったことが確認できました。
――16年は高知、19年は徳島が全国ワーストの投票率でした。それぞれ、自県が地盤の主要候補者が選挙区から出ない選挙でした
16年で高知で起こったことが、19年に徳島で起こったと思います。まず有権者が自分たちの代表が出ていないと感じた。19年に地元の候補者がいた高知は、全国平均の投票率が下がる中、上がりました。
もう一つの要因は、選挙区の面積が2倍となって、選挙運動の総量は両県から見ると半減。動員もかかりづらく、選挙が行われている感じが希薄。慣習的に政治参加してきた人たちが選挙の制度や構図に不満を持ったのだと考えます。
――候補者の選出にバランスを欠いたのでしょうか
初の合区選挙として注目された16年は、候補者が一方の県に寄ってよかったと思っていました。確かに両県の出身者が似た政策を掲げて激しく競い合うなら、投票率が上がる要素。でも、生み出すものが必ずしもいいとは限りません。
危惧するのは、地域の対立…
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- 【提案】
投票率が低いワースト3県に出張授業に行くというプロジェクトをやっています。高知と徳島の出張授業に行き驚いたのは、「選挙カーを見たことがありません」という高校生がいたことでした。選挙の効率を考えると、特に高知は面積も広く田舎の方にいくとそこま