公衆無線LAN、通信障害に無料開放は可能? 関係団体が対応検討へ
携帯電話大手KDDIの大規模な通信障害では、ネットにつながる代替手段が求められた。災害時には通信各社などでつくる「無線LANビジネス推進連絡会」が、公衆無線LAN「Wi―Fi」を無料開放する仕組みがある。今回のような障害時は対象になっておらず、見直しを求める声がある。連絡会側は今後、対応を検討する方針だが、課題も多い。
KDDIの障害は2日未明に発生し、5日午後に全面復旧を確認するまで86時間かかった。音声通話やデータ通信が利用しづらい状況が長時間続いた。
そのなかでも、スマホが無線LANにつながればデータ通信は可能だった。スマホアプリ「LINE」などで発信することもできた。駅や飲食店などの無線LANのスポットで、スマホを操作する人もいた。
いまは全体的に固定電話が減り、携帯電話が普及している。スマホを保有する世帯の割合は9割近くに上る。いつでも、どこでもネットにつながるスマホは、生活に欠かせないものになっている。
連絡会は災害時に通信できなくなることを想定し、公衆無線LANを無料開放する際のガイドラインを定めている。ネットワーク名は「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」で、誰でも使える。
2011年の東日本大震災をきっかけに始まった取り組みだ。16年の熊本地震から本格的に運用されている。これまでは、今回のような障害で無料開放した例はない。
連絡会は「様々な意見を頂いている」としており、ガイドラインの変更なども含めて検討を進めていく方針だ。システムのトラブルなどによる障害でも、「利用者にとっての影響の深刻さは自然災害と変わりはない」とみている。
ただ、障害時の無料開放は簡単ではない。現状では、被災者が安否確認や情報収集に使うことを前提に、誰でも使えることを優先している。通信の暗号化などのセキュリティー対策はしていない。多くの人が急に利用すれば、障害を起こしていない事業者に影響が広がることも考えられる。(鈴木康朗)
■公衆無線LANを無料開放し…